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新しく藤純一郎先生の外来が始まりました! 藤先生へのインタビュー

[2006.07.27]

S42年、福岡県生まれ。
H4年、九州大学医学部卒業。
その後、九州大学医学部附属病院放射線科、唐津赤十字病院、国立大阪病院総合内科等を経て、H15年4月から東京女子医科大学病院内科に勤務し、現在に至る。

当院では、7月4日から藤純一郎先生の内科外来が始まりました。藤先生に、抱負などを伺ってみました。

Q─ 藤先生は何故医師を志されたのですか?

はじめは「医者になりたい」というようなはっきりとした思いがあったわけではないのです。小学低学年の頃、教育熱心な母から「医者か弁護士になりなさい」と言われ、弁護士は法律ばかりでおもしろくなさそうだから、なるのだったら医者かなという程度の考えでした。子供の頃はどちらかというと「母の期待に応えなくてはいけない」という思いの方が強かったですね。

Q─ 藤先生は医師になられ15年ですが、医療実践をやってこられて特に実感していらっしゃることはどのようなことでしょうか?

「自分が癒されないと他人は癒せない」ということを強く実感しています。医者になるまで私は人生の目的を見出せず「とにかく勉強をして良い成績をとっていれば将来何かいいことがあるのではないか」と信じて勉強に励みました。しかしいざ医学部に入学しても目標が曖昧なのですね。

そしていろいろ考えて結局は放射線科を選択しました。そこには多くの末期ガンの患者さんとの出会いが待っていました。しかし私はそのような患者さんにどう出会えばいいのか分からず、苦しんだ時期もありました。一旦は、外国へ行ったり大学院の社会学部に入って勉強しなおしたりしました。 

そのなかでいろんな人との出会いがあり、再び医師としてはたらき始めた頃、「トータルライフ(TL)医療」(「TL人間学」の人間観、世界観を基にした医療、本ホームページの理念も併せてご参照ください)の勉強会に参加するようになりました。TL人間学を勉強するなかで、「相手の期待に応えないと生きていけない。ありのままの自分ではだめ」と思っていた自分の姿がみえてきました。そして人それぞれの生い立ち、学歴、立場やはたらき等々全て条件であるという考えに深く得心し、「ありのままの自分でいいんだ」と思えたとき、心の底から癒され、心が自由になれたのです。

Q─ 自分が癒されたら、どのような変化があったのですか?

自然に患者さんの痛みを受けとめられるようになっていきました。あるリウマチの患者さんは、外来に来られたときは痛みが強かったのですが、その方の嫁姑の間で生じる怒りの気持ちを受けとめさせていただくと、帰りには「痛くないです」と言って帰って行かれました。

アルコール依存症の方は、できることからやってゆこうと一緒に考え、一緒に頑張っていったらアルコールをやめられました。あるとき患者さんから「先生雰囲気が変わりましたね」と言われました。こちらが癒されて、本当に患者さんと出会いたいという気持ちだと、患者さんにもその気持ちがダイレクトに伝わるのかと思います。ですから、医療者がまず癒され、少しでも深く患者さんの痛みを受けとめようとしてゆくことがとても大きいのではないかと思っています。

Q─ 本郷内科での診療を担うにあたっての抱負をぜひお聞かせください

TL人間学を勉強するようになってから分かったことですが、私の苦しみは、「もっと自分をわかってほしい」「大切にしてほしい」という想いからでてきていたと、最近実感するようになりました。ですから、まず自分の方から患者さんのお気持ちを受けとめ、大切にすることを全ての医療実践の中心に置いてゆきたいと思います。

また、在宅医療も担当させていただきますが、往診はとても楽しみです。往診が必要な患者さんの中には、ご高齢で体が不自由なために外出することもできず、孤独な生活を送っておられる方も少なくありません。往診では医学的にきちんと診断・治療を行うのは当然ですが、それに加えて、医者である前に一人の人間として、患者さんとの出会いを大切にし、少しでも絆を結び深めてゆきたいと願っています。

精一杯努力してまいりますので、どうかよろしくお願いします。

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