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長屋先生、 「第6回文京区医師会学術集会」にて発表!

[2008.02.27]

平成20年2月23日(土)、春一番の強風が吹くなか、日本医科大学4号館4階第2講堂において、「第6回文京区医師会学術集会」(文京区医師会主催)が開催されました。当日は、一般演題1・2と特集演題「終末期医療の諸問題」で構成され、文京区内で医療活動に従事されている医師、歯科医師、訪問看護師、薬剤師など、様々な現場から10題の発表がありました。会場は、60名を超える参加者でいっぱいとなりました。

そのうちの特集演題「終末期医療の諸問題」のセッションで、当院の在宅医療部長・長屋直樹先生が、「当院における在宅での看とりの現状」というテーマで発表しました。


長屋先生は、まず、2000年から2007年までの当院の在宅看取り患者さん72名を対象として、統計的に様々な角度から検討した結果を報告しました。例えば、医療的処置の側面では、ほとんどの患者さんは亡くなられるにあたって、在宅で酸素療法、中心静脈栄養管理などの医療的な処置を受けているとのこと。また、疾患別側面では、癌の患者さんが6割を超えており、苦痛の緩和という点において、ほぼ全員が何らかの医療的な処置を必要としていたとのことでした。当院の在宅医療が、一般には受け入れが難しいと言われる癌末期の患者さんも柔軟に受け入れ対応していることが伺われる内容でした。

次には、在宅の看取りにあたって大切にしている原則について述べました。「患者・家族の意向を最優先する」「充分な緩和ケアの実施」「死の受容へのサポート」…など、9つの原則はどれも終末期の実態に即したもので、「なるほど」と深くうなずく内容でした。

考察では、今後も癌の患者さんが増加することが予想されること、最期の看取りの場所は、患者さんのニーズも様々であり、在宅死のサポートを向上させる一方で入院の受け入れ体制も維持させてゆく必要があること、今後も技術の向上と体制の強化を図ってゆきたい、との内容を述べました。そして最後に「より一層努力して、患者さんが安心して自宅に帰り癒されるような在宅医療を提供したい」と願いを語られ、発表を結びとしました。


同セッション5題の発表が終わった後、質疑応答がありましたが、会場からは、長屋先生への質問も大変多く、当院の取り組みへの関心の高さが伺われました。そして、長屋先生からの内容の豊富な応答に、在宅医療7年間の実績と確信を感じました。このような実践をされている背景には、長年長屋先生と同じ医療現場で常々思うところでもありますが、長屋先生が、ご家族を癌で亡くしておられる痛みをご自身が心に抱いていらっしゃるからこそ、患者さんお一人お一人にこのように愛情を持ってきめ細かく関われているのではと感じました。また、普段から連携している訪問看護ステーションの方々へ支えていただいている感謝の気持ちを伝えられる場面もあり、日頃のつながりが感じられ心温まる思いがしました。


セッションを終えるにあたって、日本医科大学老人科大庭教授よりまとめのコメントがありましたが、その発言からも、いずれの演題発表も取り組みの水準が高いことが伺われました。
終末期医療とは、患者さんのみならずご家族も含めて本当に厳しい現実と向かい合わなければなりませんが、こうしてたくさんの医療従事者の方々が懸命に取り組んでいるお姿に、希望と感動を頂いた学術集会でした。

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